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環境省 + ダイキン 開催レポート 特別セミナー 待ったなし!3年目のフロン排出抑制法対策〜フロン排出抑制法の現状と今後の動向〜

2017年4月21日、東京都新宿区の新宿NSビルで「ダイキン フロン排出抑制法 特別セミナー」が開催された。2015年4月に施行されたフロン排出抑制法は、業務用エアコンディショナーや冷凍冷蔵機器の製造から使用、廃棄にわたるまで、フロン類の漏えいや排出を抑制するために制定された。今回は環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 フロン対策室室長補佐の齋藤氏を招き、「フロン排出抑制法の現状と今後の動向」と題して、ダイキン工業が「HFC規制とダイキンの対応」について説明。さらにダイキンエアテクノから1名が登壇し、同法に対するお客様の取り組み事例やサービスを紹介した。

フロン排出抑制法の現状と今後の動向

フロン排出抑制法の現状と今後の動向

そもそも、一体フロンの何が問題なのか。1980年代、CFCやHCFCといったいわゆる“特定フロン”が、オゾン層を破壊し、有害な紫外線が増加するという問題が顕在化した。そこで、“代替フロン”となるHFCが登場。しかしながら、HFCは非常に高い温室効果ガスを有しており、オゾン層にとっては無害なものの、地球温暖化に影響を及ぼすことが判明した。これらの事態を受け、フロン排出抑制法では、CFC、HCFC、HFCという3つのフロン類を規制対象としている。

齋藤氏は「特定フロンの削減や、回収と破壊に関する規制が進められており、1988年には『オゾン層保護法』に基づく特定フロンの製造・輸入が規制されました。2001年には『フロン回収・破壊法』を制定。業務用冷凍空調機器を整備や廃棄する際にフロン類を回収し、回収したフロン類を破壊業者に引き渡して大気中に放出しないことを定めました」と、これまでの取り組みを説明した。
その上で、HFCの増加や、業務用冷凍空調機器を廃棄する際の漏えいと同程度の機器使用中のフロン類漏えいなど、さらなる課題も見えてきたため、2015年4月にフロン回収・破壊法が改正され、『フロン排出抑制法』が施行された。齋藤氏は「これまでのフロン類の回収・破壊に加え、フロン類の製造・使用・廃棄までのライフサイクル全体にわたる包括的な対策が必要とされていた」と話した。

1、点検について

フロン排出抑制法では、第一種特定製品(業務用空調機器、冷凍冷蔵ショーケース、定置型ユニット、ターボ式冷凍機など)には「簡易点検」と「定期点検」が義務づけられている。簡易点検は、3ヶ月に1回以上、製品の管理者が異音、外観の損傷、腐食、錆、油にじみなどをチェックする。定期点検は7.5kw以上の機器が対象となり、専門業者への委託が必要だ。「フロン排出抑制法では、法施行後の3年間のうちに1回以上の点検を義務付けており、今年はその最終年度です。必ず定期点検の実施をお願いします。なお、フロン排出抑制法は機器の買い替えや冷媒の入れ替えを強制するものではありません。悪質な業者からの勧誘には注意してください」と齋藤氏は付け加えた。

2、算定漏えい量の公表について

2017年2月、環境省及び経済産業省は、フロン排出抑制法に基づく「フロン類算定漏えい量報告・公表制度」により、事業者から報告のあったフロン類算定漏えい量を集計・公表した。齋藤氏は「対象は、管理する業務用冷凍空調機器からフロン類を年間1000t-CO₂以上となる446事業者です。漏えい量は合計235万t-CO₂との結果になりました。傾向としては小売業、食品製造業、化学工業などの事業者が多く、地域は首都圏を中心に上位10都道府県で全体の6割を占めることが分かりました」と公表内容を説明。加えて、「これは実態把握のために行ったものであり、結果から良し悪しを問うものではありません」と補足した。

3、今後の展開

齋藤氏は「日本は今後、フロン対策の国際的リーダーとして先進的な役割を担っていきます」と話し、そのための課題として、2036年までにHFCの生産量を85%削減することが合意されたモントリオール議定書への対応や、フロン類の漏えい率の低減、回収率の向上を挙げた。「将来的には、省エネ・脱フロン型の冷凍空調機器の普及を目指していきますので、ご協力をお願いします」と締めくくった。

HFC規制とダイキンの対応

ダイキン工業 CSR・地球環境センター 矢嶋より、HFC規制とダイキンの取り組み事例が紹介された。

ダイキン工業 CSR・地球環境センター 矢嶋より、HFC規制とダイキンの取り組み事例が紹介された。

「冷凍空調機器用の冷媒として使用されるHFCは、地球温暖化効果が大きい物質。そのため、地球温暖化効果の小さい物質をエアコン用冷媒として使うことが求められています」と、矢嶋。「冷媒には、安全性、環境性、効率、エネルギーという4点が要求されます」と説明した。

モントリオール議定書キガリ合意に基づき、エアコンメーカーに対しては指定された製品の低GWP化が課されている。ダイキンの取り組みとしては「フロンは製造上の上限が定められているため、家庭用エアコンでは安全性が高く温暖化影響も少ない『R32』という低GWP冷媒を採用しました。今後は業務用エアコンも同レベルの低減化を目指します」と話した。

さらに「当社は、安全性や省エネ性、経済性を考慮し、冷媒を適材適所で選択する『冷媒の多様性』をポリシーとしていきます。10~20年後にどんな冷媒にしようかと考えるのではなく、できることから始めていく“Sooner,the Better”というアプローチを実践していきます」と方向性を説明。「今後は、世界で唯一の冷媒・エアコン両方を製造するメーカーとして、ステークホルダーと一体になり、循環型社会に貢献していきたい」と意気込みを語った。

フロン排出抑制法 対応サービス ダイキンエアテクノお客様事例

ダイキンエアテクノ 國分より、フロン排出抑制法に対する対応、業務用エアコンの点検方法について説明された。

ダイキンエアテクノ 國分より、フロン排出抑制法に対する対応、業務用エアコンの点検方法について説明された。

國分は「今回は、全国に約300の施設を展開する法人様より依頼をいただき、設備の現状把握からスタートしました。オーナーが施設の設備を把握されていないケースが多く、まずは現状を把握してほしいという依頼を多くいただきました」と、事業者による点検の現状例を話した。本件では「簡易点検表」を3ヶ月に1回全拠点に配布し、ダイキンエアテクノが受託して点検を実施。修繕が必要な場合は決裁を取り、次期の点検時に合わせて実施する。調査結果は施設ごとにファイリングし、全施設に保管を依頼している。
また、アルプス技研さまには、昨年度に引き続き空調機保守点検サービス「エアネットサービス」を活用いただいている。「『省エネにも効果が高い』と好評いただいている」と、同サービスの幅広いアピールポイントを語った。

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